リスクから組織と個人を守るには-
健康診断で自分の異常をチェックし病気の進行を防ぐように「リスクセンス※1を鍛え、異常感知力を磨き、自らの組織のセルフケアを行う」ことは、事故や不祥事を未然に防止するために組織として不可欠な活動です。
リスクセンス検定®※2は、
① 組織と個人のリスクセンスがどのレベルにあるか、
② 自社の防護壁の状況はどうか、
③ 劣化した防護壁はないか、
を確認し、異常感知力を向上させるために開発したものです。
本書で紹介する組織事故の発生モデルをベースにした科学的手法(VTA法、M-SHEL法)は、組織要因を顕在化させる手法として、化学産業や電子・電機産業をはじめとするモノづくり分野で活用されており、IT、オフィス業務分野にもその範囲を広げています。検定受検、組織診断法を、リスクに強い組織作りにぜひご活用下さい。
※1 リスクセンス:組織を健全に運営しリスクを最小にしていくために必要な知識・判断力・業務遂行能力の総称
※2 リスクセンス検定®:”組織と個人のリスクセンス度”を「客観的に診断する日本で唯一」の検定試験
目 次
第1章 リスクに強い組織に向けて
[本書の読み方・活用法]
本書の構成/実務の中で実践するために/
「11のLCB診断項目」を身近に
第2章 リスクセンスで組織事故を防ぐ
2.1 組織事故の発生メカニズムを解く
2.2 LCB式組織の健康診断®法
「スイスチーズ」モデルからの工夫/
防護壁とした11項目の組織要因の概要
2.3 防護壁とは日常守っているルール
2.4 組織事故を防ぐには
第3章 リスクセンスを身に付ける(Learning)
3.1 L1:リスク管理(リスクを知る)
リスクを知る/リスク評価
3.2 L2:学習態度(水平展開)
なぜ同じような失敗が繰り返されるか/
事故などの原因追及は組織の
運営要因まで行う/
事故などを起こしてはいけないという
意識を希薄にしないために
3.3 L3:教育・研修
理論に基づいた教育内容
第4章 リスクセンスを保つ(Capacity)
4.1 C1:モニタリング組織
4.2 C2:監 査
監査のレベルアップ
(1)複数の監査の実施、
(2)専門性を持った人による監査、
(3)リスクアプローチ法
4.3 C3:内部通報制度
内部通報制度を機能させるために
4.4 C4:コンプライアンス
機能するコンプライアンス活動を目指して
第5章 リスクセンスを鍛える(Behavior)
5.1 B1:トップの実践度
安全第一/トップのとるべき行動
5.2 B2:HH/KY
活動のマンネリ化/マンネリ化の防止
5.3 B3:変更管理
正規の手続きを踏んでマニュアルを
変更することの難しさ
5.4 B4:コミュニケーション
よいコミュニケーションの維持
「報・連・相+反」/話しやすい職場つくり
第6章 リスクセンス検定®の受検ガイド
6.1 リスクセンス検定®の概要
6.2 受検のガイダンス
Webリスクセンス検定®の受検概略フロー/
受検マニュアル
6.3 受検結果の報告(報告書の内容)
組織(団体)への報告書の内容/個人への受検結果報告
6.4 リスクセンス検定®の活用
第7章 リスクセンスの視点から診た事故や不祥事の事例
7.1 繰り返される事故や不祥事の事例
保全データ改ざん事件(1) 原子力業界の事例/
(2)化学・石油業界の事例/品質検査データ改ざん事件/リコール隠し事件/ 粉飾決算事件/入試過誤/食中毒事件/発電所での蒸気配管噴破事故
7.2 解析手法付の事故事例
(組織要因を顕在化させる解析手法を学ぶ)
酸化反応器の爆発火災事故/
塩ビモノマー(VCM)
プラントの爆発火災
事故/アクリル酸プラント内の中間タンクの
爆発火災事故
≪リスクセンス関連用語集≫
あとがき/索 引
◎リスクセンス検定 練習問題
第1~3問:3.1 L1
第4~6問:3.2 L2
第7~9問:3.3 L3
第10~12問:4.1 C1
第13~15問:4.2 C2
第16~18問:4.3 C3
第19~21問:4.4 C4
第22~24問:5.1 B1
第25~27問:5.2 B2
第28~30問:5.3 B3
第31~33問:5.4 B4