近年の事故発生要因は、テクニカルスキル(技術面)に起因するものよりもノンテクニカルによるものが増加する傾向にあります。ノンテクニカルスキル教育は、航空業界をはじめ、海運、医療、原子力などさまざまな分野に広がり、製造産業の現場においても取り組みがはじまっています。
本書は、著者が所属するAGC旭硝子でのノンテクニカルスキル教育の実践を踏まえて執筆されました。
「基礎編」では、ノンテクニカルスキルの概要を解説し、続く「応用編」では、教育インストラクターの養成、スキルアップの手法、現場の意識改革などを実際の演習内容をもとに解き明かしています。
事業所のトップリーダー、現場の管理者、また、第一線で活躍する作業者のみなさまが、これからの事故防止・保安安全活動を推進するために本書をご活用いただくことを強くお薦めします。
【目 次】
[基礎編]
第1章 ノンテクニカルスキルとは何か
1-1 ノンテクニカルスキルとは
1-2 航空分野での取り組み
1-3 海運分野の取り組み
1-4 化学分野での動き
1-5 ノンテクニカルスキルの必要性
1-6 ノンテクニカルスキルの向上曲線
1-7 非意図的ノンテクニカルスキル教育
1-8 ノンテクニカルスキルの体系図
1-9 ノンテクニカルスキルと安全文化との関係
第2章 状況認識
2-1 状況認識の三段階
2-2 状況認識の第一段階「情報の入手」
2-3 状況認識の第二段階「情報の理解」
2-4 状況認識の第三段階「未来予測」
2-5 思い込みを防止するには
2-6 産業界の思い込み事故
2-7 航空分野における「思い込み」
2-8 まとめ
第3章 コミュニケーション
3-1 コミュニケーションの現状
3-2 コミュニケーションの課題
3-3 コミュニケーションの目指す状態
3-4 コミュニケーション起因事故
3-5 コミュニケーションの手段
3-6 安全への主張(アサーション)
3-7 コミュニケーションの5要素
3-8 まとめ
第4章 意思決定
4-1 意思決定のフロー
4-2 意思決定の4要素
4-3 意思決定には自己認識が大事?基礎
4-4 小さなことから意思力を鍛える
4-5 意思決定の落とし穴注意
4-6 産業界における意思決定上の事故
4-7 個人生活における意志決定
第5章 リーダーシップ
5-1 リーダーシップとは
5-2 働きかけスキル
5-3 オープンなコミュニケーションスキル
5-4 連携構築スキル
5-5 フォロワーシップスキル
5-6 人材育成スキル
5-7 リーダーシップの修得ステップ
5-8 リーダーシップの事故事例
第6章 ノンテクニカルスキル能力の開発
6-1 自分の能力開発
6-2 部下のノンテクニカルスキル能力開発
[応用編]
第7章 ノンテクニカルスキル力を高める演習
7-1 はじめに
7-2 CRM訓練におけるコミュニケーションスキルの位置づけ
7-3 チーム力を高める訓練
7-4 コミュニケーションスキル訓練の実際
7-5 コミュニケーション訓練の実際
7-6 まとめ
第8章 ノンテクニカルスキル教育の実践
8-1 ノンテクニカルスキル教育の三科目構成の実際とその理由
8-2 演習を取り入れている理由と効果
8-3 各種演習の実際
8-4 協力会社も教育対象
8-5 まとめ
第9章 行動特性評価の実際
9-1 安全力評価
9-2 危険敢行性の評価について
9-3 思い込み特性の評価
9-4 行動特性評価の成功モデル
9-5 自己管理シートの導入とメンタリング例
9-6 まとめ
第10章 現場で醸成できるノンテクニカルスキル
10-1 ノンテクニカルスキルの良き助言者
10-2 OJTで行動特性指導
10-3 若年層へのノンテクニカルスキル教育
10-4 OJTでコミュニケーション力向上
10-5 他業界のノンテクニカルスキル教育
第11章 演習の作成方法
11-1 クロスロード演習とは
11-2 おはじき演習とは
11-3 逐次合流演習とは
11-4 自問自答力向上演習とは
第12章 インストラクターの要件
12-1 ノンテクニカルスキル教育のインストラクターの要件
12-2 インストラクターの話し方のコツ