統計解析ソフトウェアの普及に伴い、誰でも手軽に統計解析ができる時代になり、研究環境は飛躍的に改善されてきました。
しかし、統計解析というものを、どうやって理解をしたら良いのでしょうか?便利になった反面、どんな解析手法が最適なのか、不安を抱いている研究者が多く存在していました。
本書は、仮説・検証による臨床研究を進めようとする研究者が統計解析手法を選択する際に、適切な手法を的確に選択できるようにと、まとめられたハンドブックです。
かなり広範な統計手法について取り上げ、数式を省き、図表を多用して、直感的に理解できるよう編集しています。
本ハンドブックが医学・心理学・社会学・歯学・看護学・医工学・薬学などのさまざまな統計解析に従事している方々の臨床研究の一助になれば幸いです。ぜひ手に取ってご活用ください。
●本書の特徴・使い方
①基礎編・基礎-2(下図参照)の概念を理解し、その研究が前向き、後向き、横断的研究かが認識できると、本書で取り上げた各統計解析手法をまとめた「一覧表」より最適な統計解析手法が決定できる。
②原因と結果を意識した「分割表」等のテーブルの形式を重視し、重要な「表」はオレンジ色で掲載。自分がデザインしようとしている臨床研究に適した「表」を見つけることにより、選択すべき手法がわかる。
③難解な統計用語などは索引から「逆引き」し、解説箇所を確認できる。
医学・心理学・社会学・歯学・看護学・医工学・薬学など、
様々な分野における臨床研究のための統計解析の必携書
【目 次】
はじめに -本書の使い方-
序章●研究計画・統計解析の基本
序章-1 Clinical Question からResearch Question へ
序章-2 統計解析の基本
基礎●統計解析の上で大事な基礎知識
基礎-1 尺度分類のヒント
基礎-2 出現率に見る「原因」と「結果」の考え方
基礎-3 分割表
基礎-4 対応のあるなし
基礎-5 リスクとハザード
基礎-6 近似検定
基礎-7 推定
一覧●前向き研究・後向き研究・横断的研究と各統計手法の一覧表
解析●それぞれの解析手法の解説
A.出現頻度の検定
A-1-1 分割表を用いた出現率の比較(Ⅰ)
A-1-2 分割表を用いた出現率の比較(Ⅱ)
A-2-1 同一被験者を用いた出現率の比較
A-2-2 同一被験者を用いた多時期の出現率の比較
A-3-1 層別に観測された出現率の比較(Ⅰ)
A-3-2 層別に観測された出現率の比較(Ⅱ)
A-4 同一被験者を用いた2時期の
符号付き順位平均値の比較
A-5 段階的な評価を用いた際の順位平均値の比較
A-6 層別順位平均値の比較
A-7 用量で群分けした際の出現率の比較
B.平均値の検定
B-1 2群(2時期)の平均値比較
B-2 2群の平均値比較
B-3 多群比較(Multi-group comparison)
B-4 多重比較(Multiple comparison)
C.相関と回帰
C-1 相関分析
C-2 回帰分析
C-3-1 重回帰分析
C-3-2 重回帰分析を用いた変数選択の手順
C-3-3 相加効果・相乗効果・相殺効果
C-4-1 共分散分析(ANCOVA;Analysis of Covariance)
C-4-2 共分散分析(ANCOVA;Analysis of Covariance)と層別解析
C-5 用量反応解析
C-6-1 ロジスティック回帰分析(Logistic regression analysis)
C-6-2 ロジスティック回帰分析を用いた変数選択の手順
C-7 順序ロジスティック回帰分析
D.判別
D-1 判別分析
D-2 判別分析を用いた変数選択の手順
D-3 診断率に関する評価指標
D-4 診断項目候補を用いた診断率に関する評価(Ⅰ)
D-5 診断項目候補を用いた診断率に関する評価(Ⅱ)
D-6 重判別分析
E.生存時間解析
E-1 Kaplan-Meier 法
E-2 Log-Rank 検定
E-3 Cox の比例ハザードモデル
F.横断的研究時に用いる手法
F-1 クラメールの連関係数 ⇒ A.参照
F-2 四分点相関係数(ファイ係数、Phi) ⇒ A.参照
F-3 Pearson の相関係数 ⇒ C.参照
F-4 Spearman の順位相関係数 ⇒ C-1参照
F-5 エーベルの級内相関係数 ⇒ C-1、F-5参照
F-6 一致係数κ(カッパ) ⇒ C-1参照
F-7 ケンドールの一致係数W ⇒ C-1参照
F-8 重み付き一致係数κW ⇒ C-1参照
F-9 相関比 ⇒ F-9参照
F- 10 順位相関比 ⇒ F- 10 参照
要点●研究デザインのヒント
要点-1 2×2分割表をもとにした統計解析の考え方
要点-2 臨床研究のステージとスタイル
要点-3 論文形式を意識したデータ解析の大きな流れ
要点-4 検定結果と推定結果の関係
付録●リッカート尺度とアンケートの作り方
付録-1 リッカート尺度(Likert Scale)の作り方
付録-2 アンケート(Questionnaire)の作り方
参考文献
おわりに
索引